今回のリレー日記は小泉佐枝さんです。
小泉さんは長年作曲家・「はやしこば」さんのアシスタントとして、
こばさんが出演される市川の現場には必ずいつもいらしていた方です。


市川監督との最初の出逢いは、

病院で死ぬということ」の調布の日活撮影所のセットでした

作曲家のアシスタントだった私にとり、

市川監督は雲の上のような存在の方で・・・

お仕事でお会い出来るなんて嬉しくて嬉しくて・・・

興奮のあまり、

現場では顔がトマトみたいに真っ赤っかになっていた自分を思い出します。

「東京夜曲」では喫茶店の場面の時に、

市川監督から突然通行人にとのご指名を受けて、

生まれて初めてエキストラという貴重な体験をさせて頂きました。

その時も、とても緊張してしまい、

頭が真っ白状態になってしまった私です。

都会的でお洒落でユーモアがあり、

映像と音楽とが、絶妙に融合している市川ワールドには、

とてつもない魅力を感じています。

既存の日本の映画監督には全くない斬新さは、

本当に貴重な存在でいらしたので、もっと沢山の市川作品が見たかったです。

今となっては叶わぬ夢となってしまいましたが、

市川監督が次回の撮影予定だった「ヴィヨンの妻」を是非観たかったです。

私は映画が好きなので日本映画をよく観ます。

市川作品を知ってしまった者として、何を観ても物足りなさを感じてしまい、

この作品を市川監督なら、どの様に描いていたかという想いが常に頭を横切ります。

市川作品のワンカット全てがいつもいつも市川テイストなんです。

本当に素晴らしい作品を沢山残して頂き監督には感謝の気持ちでいっぱいです。

心から、『ありがとうございます』と申し上げたいです。

昨年秋に、幸子夫人と待ち合わせをしていた

ホテルのティーラウンジの伝票Noが0919だったこと、

幸子夫人にメールさせて頂いた直後のSuicaのレシートのNoが0919だったこと・・・

市川監督は天国から、

幸子夫人のことをいつも見守っていらっしゃると

改めて実感して涙が止まりませんでした。

幸子夫人の中には、今でもずっと市川監督は生き続けていらっしゃると確信しております。
 
小泉佐枝