◎[パリ上映会だより]

パリ上映会だより。<2012・6月26日初日のこと。>


昨日までの雨と、
午前中のはっきりしなかった空が、どんどん青く澄みわたって行く。
嘘のように夏らしい暑さも取り戻していく。
時計の針は19:00を回り、外は白夜である。

パリ文化会館1Fの会場(こちらではB1)入口では、長い列が出来ていた。
パリ在住の日本人・パリの方。御年配の方も多い。
最初の上映作品『東京マリーゴールド』が果たして受け入れて頂けるのかしらと、
内心ドキドキしていた。途中で帰られてしまったらどうしょう。

今回は普通の上映会と少し異なった演出がある。
会館・映画担当のF・アルデュイニ氏の計らいで、市川のCMを本篇の前に流しましょうという趣向である。
観客の方は全く知らないサプライズ。
大喜びで賛同し、スポンサー・関係者さんのご好意を頂き、今日を迎えたのではあるが、
果たして自身の、CMの付きの映画上映を市川はなんて思うのだろうか。

埋め尽くされた観客の前、担当者に導かれながら、慣れない私の心は千々に乱れ、
心ここに在らずである。
ご来場の感謝とともに、これからお目にかけるCMは本篇と関連が有るのだが、無いのです。
などと、なんだか、不思議な説明をしてからの公開となった。

市川が長い年月シリーズで演出していたCM味の素「ほんだし」は、
懐かしい美しい音楽にのせ、樹木希林さんと、田中麗奈さんの親子のやりとりを写しだす。
時間の経過を持った数タイプが流れ、、本篇へと、スムーズに移行していった。
何の問題もなかった。余りの自然さに拍子抜けしてしまう位。
「同じ演出家が手掛けているのだから、違和感があるわけがないんだわ・・・」など、
変な納得をして、一観客と化した。

鑑賞後の皆さんがどうやら希林さん・麗奈さんの親子をCMとは分けて観れていたことを確認出来て胸をなでおろした。

本篇も含め、お二人の親子はなんて素敵な女優さんたちなんでしょう!
お褒めのお言葉も聞くことができて、いいスタートとなった。

今日はお二人や陰のスタッフから沢山の援護射撃をいただいたのだなぁ〜と、
嬉しく、そしてとても有難かった。
                     市川 幸子