カメラマン 北島 元朗



市川監督に初めてお会いしたのは、

カメラマン鋤田正義氏のアシスタント時代に

宮沢りえさんの日本テレコム0088のCM撮影でした。


それから、何度も市川監督とCMの仕事をさせて頂きました。

私がカメラマンになって

岩井俊二監督の映画「スワロウテイル」のスチールを撮影した関係で

映画のイベントに市川監督を招待させて頂きました。

遠い場所にも関わらず東京ビックサイトへ来て下さいました。

映画の上映が終わってから

出来たばかりの映画の写真集を持って市川監督の下へ向かい

写真集を無事に渡すことが出来ました。


それから、市川監督とお会いすることが無く

2年近くが過ぎた頃に

市川監督から直接、撮影依頼の電話を頂き

「北島君こんど映画を撮ろうと思っているんですがいままでの映画と違った感じの

映画を撮ろうと思っていてスワロウテイルみたいな写真を撮って貰えませんか」と言われたので

私は、映画の内容もわからないままに二つ返事で快諾していました。

市川監督と一緒に仕事がしたいと思っていた時に市川監督から直接連絡を頂き

感激したことを昨日のことのように思いだします。


映画「たどんとちくわ」のラストシーンに映画のスチール写真を使用する為に

日活で映画の編集をされている編集室に何度となく写真を持って伺いました。

映画「たどんとちくわ」は、全国公開の映画でしたが諸事情により

東京と大阪の単館上映されただけで映画館で観た人は、少ないと思います。


私が関わった映画と言うこともあり好きな映画になりました。


最近、「たどんとちくわ」の写真のフィルムをあらためて見返してみると

忘れていた記憶が甦ってきました。


市川監督が亡くなられてからわかった事ですが

私が映画の撮影現場で市川監督を撮影した写真を気に入って頂いてたみたいで

市川監督の追悼本の表紙に使って頂いたり

パリで市川監督の特集上映用のパンフレットに使って頂いたりと

私の写真が一人歩きしている事が

光栄であり嬉しくてしかたがありません。


市川監督と何度でも仕事をしたかったですし

何時の日か市川監督の映画を撮ってみたいと言う夢も持っていました。

今となっては、叶わない夢になってしまいました。


これからも、市川監督と関わりのある方々とご一緒する機会があると思いますが

市川監督を感じながら仕事をして行きたいと思います。








北島 元朗